二人に名前がついた。
けれど保育器の中の二人に、自分の手で何かをしてあげられることは、まだ何もなかった。
面会に行っても、見ていることしかできなかった。
妻はまだ入院中で、面会に行くのは私だった。
母乳は、もう始まっていた
母乳そのものは、もう始まっていた。
出産から五日ほど経ったころ、看護師さんの手で、兄が初めて母乳を口にしていた。
ごくわずかな量を、舐めるくらい。
私があげたわけではなかった。
初めて、自分の手で
その日、面会に行くと、看護師さんに渡された。
やってみますか、ではなく、やってください、という感じだった。
綿棒に母乳を浸して、二人の口に含ませる。
どこまで口の中に入れていいのか、加減がわからなかった。
小さな口を前にして、手が止まった。
兄は、あまり飲んでいる感じがしなかった。
弟は、口をモゴモゴさせているのが、よくわかった。
それまでの面会では、見ていることしかできなかった。
この日は、自分の手で綿棒を持った。
週末だけでも、また自分であげられたらと思った。
面会の様子は、入院中の妻に伝えた。
二度目の日
数日後、もう一度あげた。
このときは、あまり反応がなかった。
私には、険しい表情に見えた。
息が苦しいのか、眠っているのを起こされて嫌だったのか、私にはわからなかった。