生まれて一ヶ月が経とうとしていた頃だった。
兄の肺のことでは、少し前から、厳しいことを何度も言われていた。
そんな中、思い切って先生に、ずっと聞くのが怖かったことを尋ねたことがあった。予後について確定的なことはまだ言えない。ただ、命に係わるケースと同じではない。そう言われた。それで、少し救われたような気がしていた。
妻からLINEが来た
その翌日、妻からLINEが来た。
「明日、二人の様子について先生から話があるから、午後休める?」
え?また?
昨日、詳しく話を聞いたばかりなのに。
嫌な予感しかしなかった。
妻に聞くと、兄の肺のことで話がある、と言われたという。
兄の肺のことは、これまでにも何度も、厳しいと言われてきた。あの話が、また明日ある。そう思うと、落ち着かなかった。
あれこれと妻に聞いた。でも、まだ何も決まっていないことを聞いても、仕方がなかった。明日聞くんだから、今は仕事に集中しろ。妻に、そう諭された。その通りだった。
半休を取って、翌日の午後、話を聞きに行くことにした。
何を言われても、と決めて臨んだ
妻からのLINEを見たときから、何を言われるのか、考えるようになった。
いい話だとは、思えなかった。
だから、覚悟を決めていた。何を言われても、取り乱さないように。どんな話でも、受け入れるしかない。そう自分に言い聞かせて、病院へ向かった。
「奇跡的に好転した」と言われた
病院に着くと、先生の方から来た。
わざわざ呼び出して、心配させてしまってすみません。そう謝られた。
実は、奇跡的なことが起きて、状況が好転した。重い話ではなくなった。そう言われた。
それから、二人のこの一ヶ月の状態について、詳しく説明を受けた。兄の肺は、良くなっていた。心配な状況ではあるが、一山越えた。そう言われた。
取り越し苦労
あまりに身構えて、臨んでいた。
何を言われても取り乱さないと決めて、緊張して、どんな話でも受け入れるつもりでいた。それが、予想とはまったく逆だった。
腰が抜けた、というか。あっけらかんとした結末に感じた。
取り越し苦労で済んで、よかった。