前回の面会で、心配していたことは取り越し苦労だった。ひとまず安心して、数日が過ぎた。
順調かと思っていた
二人ともミルクの量は増えていた。順調かと思っていた。
その矢先、兄に感染症の疑いがあると言われた。抗生物質の投与が始まった。次から次へと心配事が尽きない、というのが当時の日記の言葉だ。
アラームの音が変わった
NICUの保育器の子どもたちは、みんな酸素濃度や心拍数を表示するモニターにつながれている。部屋には常にその電子音が鳴っていて、異常があると音が変わる。
面会中、その音が変わった。兄が動いた拍子に、呼吸が乱れた。モニターを見ると、酸素の数値が60台になっていた。普段目にしない数字だった。アラームの音と数字で、心臓がドキドキして、大丈夫かと心配になった。
この日で、生後1ヶ月だった。
「先生を呼んで!」
翌日も面会に行った。
面会中に、兄の容態が急変した。
外に出て待っていてください、と言われた。私たちはNICUの外に出た。
外で、看護師が「先生を呼んで!」と叫ぶのが聞こえた。
処置で、容態は落ち着いた。
原因はヘルニアだった。お腹の張りが横隔膜を圧迫して、呼吸が不安定になった。ヘルニアの話は前から聞いていた。こんなことになるとは思っていなかった。
その日はもう、触れなかった
中に戻って、保育器の前で説明を受けた。安定はしたが、その日はもう兄に触れなかった。負担になることは避ける。そのまま帰った。
前日は、体重が800gを超えて授乳も順調に進んでいると説明を受けたばかりだった。