双子が生まれてから、毎日病院に通っていた。
行くたびに、何かを告げられた。
頭の出血のこと。
血圧のこと。
呼吸のこと。
聞かされるのは、心配な説明ばかりだった。
だから、病院へ向かうこと自体が、だんだん辛くなっていた。
今日は何を言われるのだろう。そう思いながら、毎日足を運んでいた。
その日は、何も言われなかった
その日も、昼に妻のところへ寄ってから、双子のいる病院へ向かった。
午後の仕事を終えて、もう一度面会に行った。朝からろくに食べていなかったが、食欲はなかった。
でも、その日は、心配なことを言われなかった。生まれてから、初めてだった。
悪い知らせがない。ただ、それだけだった。
それだけのことで、気持ちが少し楽だった。
夜、自分の母に電話をした
その夜、自分の母に、双子の状況を電話で伝えた。
母は心配していた。それでも、「大丈夫だよ、きっと」と、何度も言ってくれた。
自分は、うまく返事ができなかった。
大丈夫だとは、思えなかった。何ひとつ、大丈夫なことなんてないと思っていた。
励まそうとしてくれているのは、わかっていた。でも、それを受け止められるだけの余裕が、自分にはなかった。
母をこれ以上、不安にさせたくなかった。だから、それ以上は詳しく話さなかった。
言葉を選ぶのは、難しかった。医師は毎日、こういうことをしているのかと思った。
たったそれだけのことが
毎日、病院で何かを告げられていた。その日は、それがなかった。
ただ、それだけのことだった。
こんなに楽になれるとは、思っていなかった。心配事を告げられない、たったそれだけのことで。
もちろん、それがずっと続くとは思っていなかった。
それでも、その日は、少しだけ楽だった。